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学校検尿

毎年行われる学校検尿。本記事では学校検尿のフローチャートについて解説します。

目次

フローチャート

学校検尿のすべて」より引用

下記に記載した引用文献(学校検尿のすべて)に詳しく記載されていますが、できる限り簡略化すると学校検尿は下記の流れで行われます。

1次検尿、2次検尿 (学校で実施)

3次精密検診 (A方式:検査機関、B方式:地域の医療機関で実施)

腎生検 (小児腎臓病専門施設=腎生検可能施設)、または超音波検査 (小児腎臓病診療施設=超音波可能施設)

これだけであれば単純ですが、学校検尿が複雑に感じるのは地域によってA方式とB方式があり、学校検尿の運用が異なるからです。

A方式

3次精密検診までが学校、検査機関で行われます。

メリットは検尿陽性者の追跡、管理指導は的確に行えることです。

しかし、3次精密検診まで公費になるので、B方式より費用がかかることと、3次精密検診を集団で行う施設を必要とすることがデメリットです。

B方式

2次検尿までが学校、検査機関で行われます。

2次検尿で異常があれば、結果を家庭に報告して、3次精密検診を患者さんとその家族で医療機関に受診してもらいます。

公費でまかなわれるのは2次検尿までなので、お金はかからず、3次精密検診を集団で行う施設も不要です。

しかし、検尿陽性者の追跡、管理指導は不十分になりやすいというデメリットがあります。

2次検尿で異常を指摘されても、医療機関を受信して3次精密検診を受けるのは患者さんとその家族自身です。本人と家族がそのまま放置すれば3次精密検診は行われません。

どちらも一長一短ですね。ざっくりですが、A方式は都会、B方式は田舎で採用されているという認識で大丈夫です。

緊急受診

学校検尿では通常ルートを辿ると1次検尿で異常を指摘されてから医療機関を受診するのに1-2ヶ月かかるのが普通です。

しかし、検尿で緊急性の高い結果が出たのに1-2ヶ月かけて受診してたらその間に重症化してしまいます。そのため、緊急性の高い結果が出た場合は通常の手続きを踏まず、医療機関を受診することができ、それを緊急受診と呼びます。

【緊急受診の基準】
尿蛋白3+以上、または肉眼的血尿
(尿糖が高度の場合に緊急受診させることもあります。)

【緊急受診の手続き】
検査機関→学校長→保護者の順に連絡が行きます。
(保護者に連絡するのは検査機関ではなく、学校長です。)

超音波検査の適応

学校検尿で超音波検査の適応となるのは下記の通りです。

1次検尿、2次検尿で所見あり

3次精密検診でも有所見

紹介基準1を満たさず、紹介基準2を満たす

1次、2次検尿、3次精密検診では超音波検査は行われません。

暫定診断、管理指導表

暫定診断と管理指導表の作成は3次精密検診の結果から作られます。

暫定診断は下記の中から選びます。

【暫定診断名】
・異常なし
・無症候性蛋白尿
・体位性(起立性)蛋白尿
・無症候性血尿
・無症候性血尿・蛋白尿(腎炎の疑い)
・白血球尿・尿路感染症の疑い
・その他(暫定診断名がついている場合はそれを記入)

練習問題

学校検尿について正しいものを1つ選べ

a. 1次検尿で潜血2+、蛋白2+の場合は学校長から速やかに保護者に受診を勧める。
b. 2次検尿では超音波検査が必須である。
c. 3次精密検診で異常を認めない場合も、来年以降の学校検尿を受ける必要がある。
d. 3次精密検診で「白血球尿・尿路感染症の疑い」と暫定診断がついた場合は必ず小児腎臓病専門施設へ患者を紹介する。
e. 3次精密検診で異常がなければ管理指導票を記載しない。

答え:c

参考文献

  1. 日本学校保健会. 学校検尿のすべて. 子どもの未来を考える人のための学校保健. https://www.gakkohoken.jp/book/ebook/ebook_R020070/index_h5.html#1, (2023-06-30).
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