本記事では染色体検査(Cバンド、Qバンド)について解説します。
(小児科専門医試験で問われることはないと思います)
目次
Cバンド、Qバンド
Cバンド、Qバンドは、Gバンドで正常変異が疑われた場合の確認目的などで行われる検査です。
正常変異とは、染色体の構造異常が確かにあるものの、本人の表現型異常や配偶子(精子、卵子)形成に異常はなく、全く正常と取り扱っ てよい構造異常です。染色体異形性ともいいます。
代表的な正常変異としては下記があります。
- セントロメア(長腕と短腕のつなぎ目)近傍のヘテロクロマチン(異質染色質)の増加や位置異常(腕間逆位)
- Y染色体長腕(Yq12)ヘテロクロマチンの増減
- アクロセントリック染色体(13,14,15,21,22)の短腕の大きさ・形態の変異
異常があるのに表現形が正常?
なぜ異常があるのに表現形が正常になるかというと、Y染色体長腕、セントロメア近傍のヘテロクロマチンやアクロセントリック染色体の短腕は遺伝子がない領域だからです。ここに多少の異常があっても臨床的には問題になりません。
Cバンドは各染色体のセントロメア近傍のヘテロクロマチンとY染色体長腕(Yq12にあるヘテロクロマチン)を染色します。そのため、ヘテロクロマチン異型を確認することができます。
QバンドではY染色体長腕(Yq12にあるヘテロクロマチン)が強く染まり、それ以外はGバンドと同じように染まります。よって、Yq12領域を含む構造異常(転座など)の評価、簡便なY染色体の存在の確認に利用することができます。
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