単純性股関節炎は小児期において股関節痛を生じる疾患のなかでは頻度の高い疾患です。小児科を最初に受診することも多く、小児科医も知っておくべき疾患です。今回は単純性股関節炎についてご紹介します。
目次
好発年齢
4~6歳に多い疾患ですが、3~10歳と幅広い年齢層で発症し得ます。
女児より男児に多く発症し、男児は女児の2~3倍の頻度といわれます。
複数回発症することもあります。
上気道感染が先行することが多く、ウイルス感染との関連性が指摘されています。
症状
発症は急性で、疼痛のため歩行不能となることが多いです。
画像検査
教科書には以下のように記載があります。
単純性股関節炎では罹患側股関節は外転位をとるため、正面像において骨盤が罹患側に傾斜する。滑膜炎、関節水腫により大腿骨頭の外方への移動を認め、内側関節裂隙の開大として観測され、1mm以上の開大をもって左右左ありと判断する。
参考文献1より
しかし、経験上レントゲンで単純性股関節炎を診断できたことはありません。可能な限り整形外科にコンサルトしてますが、レントゲン所見から単純性股関節炎と診断されたことはありません。臨床所見と他疾患の除外から総合的に診断します。
治療
安静によって2〜3週間で自然と改善することが多いです。
なかには数日で症状改善する例もあれば1ヶ月以上症状が持続する場合もあります。
症状の持続期間が長い場合や自宅での安静が困難な場合には入院して牽引療法を行うこともあります。
練習問題
単純性股関節炎について正しいものを選べ。
a. 3歳以下に多い
b. 急に痛みを訴える
c. レントゲン検査が診断に有用である
d. 治療が遅れた場合、歩行不能となる
e. 上気道感染後に発症することが多い
答え:e
参考文献
- 鳥羽清治. 小児整形外科テキスト. 第2版, 株式会社メジカルビュー社, 2016, 381.
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