CECTSは、もともと「中心・側頭部に棘波をもつ良性小児てんかん」(BECTS)と呼ばれていましたが、最近「中心・側頭部に棘波をもつ小児てんかん」(CECTS)、「ローランドてんかん」、「中心・側頭部に棘波をもつ自然終息性てんかん」と名称が変更となった疾患です。
目次
名称変更の理由
CECTSはもともと神経学的異常と知的障害は伴わない、とされてきました。しかし、最近では知能指数としては正常範囲ですが、言語、注意、行動の異常が起こりうると指摘されています。(10〜20%、研究によってはそれ以上)
以上より、「良性」という単語は適切ではなく、患者家族にも誤解を与えかねないということで、中心側頭部に棘波をもつ小児てんかん(CECTS)、ローランドてんかん(発作の起始となる中心側頭部はローランド溝と呼ばれているため)、中心側頭部棘波をもつ自然終息性てんかんという名称を用いるように変わりました。
発症年齢
発症年齢は2~14歳でピークは8~9歳にあります。15歳までに発作は消失し、その2〜3年以内に中心・側頭部の棘波(CTS)は消失します。
発作
発作は片側顔面の間代で、舌、口唇、口腔内の片側異常知覚を伴います。多くは意識は保たれていても発語不能となります。
数分の単純部分発作で、患児から症状の詳細を聴取できます。
70%が睡眠中、とくに覚醒する時に発作が出現します。光刺激や過呼吸では発作は誘発されません。
睡眠中の発作は全般化しやすく、5%で重積します。
練習問題
中心・側頭部に棘波をもつ小児てんかん(CECTS)について正しいものを選べ。
a. 光刺激で誘発される
b. 知的退行がある
c. 過呼吸で誘発される
d. 思春期以降は発作が消失する
e. 全身性強直間代性けいれんはおこさない
答え:d
参考文献
- 奥村彰久, 他. 子どものけいれん・てんかん 見つけ方・見分け方から治療戦略へ. 2013, 280.
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