IgA腎症は学校検尿でもっとも診断されることの多い腎疾患です。実臨床で遭遇する可能性も高く、専門医試験でも問われやすい疾患です。今回はIgA腎症についてご紹介します。
目次
診断契機
無症候性血尿、無症候性蛋白尿で発症します。学校検尿のある日本では、70~80%が検尿により診断されます。
15~20%は感染契機に肉眼的血尿を呈して診断されます。
治療
軽症:ACE-I、漢方
重症:ステロイド、免疫抑制剤、抗凝固薬、高血小板薬
最重症:重症の治療に加えて、ステロイド・ウロキナーゼパルス
練習問題
10歳女児。以前より学校検尿で顕微鏡的血尿を指摘されていた。昨日から発熱および咽頭痛が出現し、尿検査で血尿3+、蛋白尿+を指摘された。溶連菌迅速検査は陽性だが、ASOは上昇を認めなかった。
考えられる疾患はどれか。
a. IgA腎症
b. 急性糸球体腎炎
c. 膜性増殖性糸球体腎炎
d. Alport症候群
e. IgA血管炎
答え:a
溶連菌感染後急性糸球体腎炎は・・・
2~12歳の男児に多く(男性は女性の2倍)、扁桃腺炎などに罹患して1~4週間後に発症します。ASO、ASKの上昇、CH50とC3が低下し、C4は正常(〜軽度低下)を示します。
治療は安静と水分、血圧管理です。必要に応じて抗菌薬投与を行います。
上記問題では溶連菌感染の急性期に発症していること、ASOが陰性であること、以前より顕微鏡的血尿を指摘されていたことから溶連菌感染後急性糸球体腎炎ではなく、IgA腎症の感染時の急性増悪と診断できます。
参考文献
- 川崎幸彦. IgA腎症・増殖性糸球体腎炎. 小児内科. 2015, 47, suppl, 520-525.
- 塚原宏一. 急性糸球体腎炎. 小児内科. 2015, 47, suppl, 486-490.
コメント