むかしむかし、おしりにテープをペタっとして提出していた蟯虫検査って覚えていますか?今回はその蟯虫についてご紹介します。
症状
肛門周囲の装用感、違和感が主な症状です。まれに不眠症や注意散漫といった神経症、虫垂炎、腹膜炎、膀胱炎を引き起こすこともあります。
診断
蟯虫は夜間に腸管内より肛門に降りてきて産卵します。そのため、起床後、セロファンテープを肛門に貼り付けて虫卵を検出します。
これを2日連続おこなっても真の陽性者の陽性率は40~50%であり、50~60%は偽陰性となります。
治療
パモ酸ピランテルの内服で治療します。
10mg/kg/回を2週間あけて、2回内服します。
2週間あけて再度投与する理由は、幼虫にパモ酸ピランテルの効果が不十分だからです。(成虫には1回の投与で十分効果を発揮します。)
2週間あけて、幼虫が成虫となってから2回目の内服を行うことによって、完全に体内から駆虫することができます。
また、治療する時は同居家族全員で治療します。上述したように、蟯虫の検査は偽陰性の可能性が高く、検査で家族内の感染状況を正確に把握することが困難だからです。
再感染防止処置
以下の再感染防止処置が重要です。
同居家族全員が駆虫薬を内服する。
起床後に保卵者のお尻をきれいに洗う。
下着を毎日替えて洗濯する。パジャマをよく替えるようにする。
布団を天日干しする。寝室に日光を入れる。おしいれ、畳の掃除を行う。
トイレの後、食事の前、オムツを替えた後に手をよく洗う。
爪を短く切る。
爪かみやお尻を直接引っかかないようにさせる。
練習問題
蟯虫について誤っているものを2つ選べ。
a. パモ酸ピランテルを内服投与する。
b. 駆虫薬は2週間間隔で2回内服する。
c. 家族全員が検査し、陽性者が駆虫薬を内服する。
d. 家の掃除を徹底し、布団は天日干しする。
e. 衣類は熱湯や漂白剤で処理する。
答え:c, e
衣類は洗濯のみで大丈夫です。
参考文献
- 小林謙一郎, 他. 寄生虫症. 小児内科. 2014, 46, suppl, 1067-1071.
- 横田俊平, 他. 小児の薬の選び方・使い方. 第4版, 南山堂, 2018, 360.
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